コロナ対応が示す日本産業界

販社再編とコスト削減

自動車ディーラーはメーカーが作ったクルマを販売することが主業務だったが、10年後には、販売だけでは事業を維持できなくなる。既存の店舗をカーシェアの拠点にしたり、介護ステーションを兼ねるなど、地域の特性に応じた事業展開を余儀なくされることから、メーカーとの関係は希薄にならざるを得ない。

EVが主流になった場合、自動車産業が従来の垂直分業から水平分業にシフトするのは確実であり、部品メーカーの多くが消滅するというのは業界の一致した見方といってよい。

多くの企業が、国内に巨大な販売網を張り巡らせているが、販売チャネルのスリム化が一気に進む可能性が高い。

日本の国内市場は人口減少から縮小が予想されており、販売網の見直しはどの業界においても必須の課題であった。コカコーラの地域販売会社が経営統合するなど、飲料業界でも2~3年前からこうした動きが顕著になっている。

携帯電話の販売店も似たような状況にある(携帯電話の販売店は、例えばドコモショップなら看板はNTTドコモだが、経営はドコモが行っているのではなく、地域ごとにそれぞれの企業がショップを運営している)。