三菱重工、スペースジェット大幅見直し 

人員削減や量産停止、海外拠点再考も

 三菱重工業は、国産初のジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を進める子会社の三菱航空機の人員を削減する方針を固めた。5月22日にNHKが報じたもの。Aviation Wireの取材によると、人員半減や量産機の製造中断に加え、米国の開発拠点閉鎖も含めて検討しており、将来的な開発中止も視野に含めた大幅な見直しを進めている。

県営名古屋空港内に本社を置く三菱航空機の社員数は、開発やマーケティングなど約1500人。半数の社員を三菱重工の他部署へ移すことを前提に、組織再編を進めるとみられる。米ワシントン州にある米国の飛行試験拠点「モーゼスレイク・フライトテスト・センター(MFC)」も見直しの例外ではなく、閉鎖の可能性も含めて検討していくもようだ。

三菱重工の2020年3月期通期の連結決算は、本業のもうけを示す事業損益が295億3800万円の赤字(19年3月期は2005億7000万円の黒字)となり、20年ぶりに赤字転落。スペースジェットによる損失を、早期に最小化する必要性に迫られている。

航空機は顧客に引き渡してしまうと、20年程度の寿命を迎えるまでケアする必要がある。そうであれば、引き渡し開始前にプロジェクトを終了してしまう方が、赤字を長期にわたり垂れ流し続けるリスクを抱えるよりもよいと考えるのは現実的な選択肢だ。

By Tadayuki YOSHIKAWA氏