アパレル名門だったレナウン

かつて日本一だったこともあるアパレル企業で、東証一部上場のレナウンが破綻した。5月15日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。負債総額は138億円余り。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛や百貨店や商業施設の休業などにより売り上げが急減し、資金繰りに行き詰った。

今では「ラルフローレン」や「ラコステ」などが有名だが、日本で最初にワンポイントのロゴブランドブームを巻き起こしたのもレナウンだった。人気ゴルファーだったアーノルド・パーマー氏にあやかって、日本で独自に「アーノルド・パーマー」ブランドを開発。本人をCMに起用してプロモーションしたこともあり、傘のロゴマークを胸に付けたポロシャツが大ヒット。1ブランドだけで年間売上高が600億円に達するほどの人気となった。

全社売上高は74年度に1000億円を突破。そのわずか6年後の80年度には2000億円を超えた。しかし、81年度に売上高2023億円で過去最高益(営業利益108億円、経常利益140億円)を記録したものの、82年度には営業利益が68億円、86年度には20億円へと、激減。

当時のアパレルの商慣行では、「お客さまに売れた時点」ではなく、「百貨店など店に納品した時点」で売り上げが計上される仕組みになっていた。営業マンの成績は納品量で計られていたので、期末に売れ残り品が大量に返品されようとも、「押し込み営業」は横行。そこに「売り上げ第一主義」が重なり、在庫が積み上がり、利益はますます低下した。早期に「利益第一主義」やSPA(製造小売り)に転換できていたら、状況は大きく変わっていただろう。武器だった営業力が、じわじわと自らを追い込むことになってしまったのだ。

レナウンが助けを求めたのが、現在の親会社である中国繊維大手、山東如意科技集団だった。2010年、第三者割当増資に応じる形で、40億円を出資し、ネオラインを抑えて筆頭株主となった。2013年に29億円を追加し、53%まで出資比率を上げた山東。

2019年12月期に山東如意の香港子会社(恒成国際発展有限公司)から53億円の売掛金が回収できずに貸倒引当金を計上したことで、赤字幅が拡大。さらに、3月の株主総会では前社長と前会長の取締役再任案を否決され、毛利憲司氏が社長に就任したばかりで、経営体制も混乱していた。

同時期に、 レナウンは、希望退職者の募集を中止すると発表した しかし、レナウンと同じように百貨店を主販路とするオンワードホールディングスの大量閉店、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武とイトーヨーカ堂による大規模な店舗閉鎖の発表などによって、レナウンの構造改革の前提が崩れ、中長期計画を見直すこととなった。

レナウンが日本で行っていた「J.Crew(J.クルー)」の展開だが、奇しくも先日、米J.クルー社の経営破綻が伝えられたばかりだが、日本事業がうまくいっていたならば、今も両社ともに健全な成長を遂げていたかもしれない。