コロナ融資窓口に中小企業殺到で2カ月半待ち。

それでも「本当に苦しい会社」に支援が行き届かない理由

まず、新型コロナウイルスの影響で資金繰りに苦しむ中小企業が利用できる融資としては、以下のようなものが考えられる。

  1. 金融機関からの純粋なプロパー融資(信用保証協会を挟まない直接融資)
  2. 信用保証協会の支援制度「セーフティネット保証4号」「同5号」
  3. 日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付
  4. 自治体の制度融資

1. について、平常時から金融機関との付き合いがある場合、担当者経由で2週間〜1カ月程度で融資が実行されるため、比較的に短時間で借り入れを行うことができる。

しかし、すでに融資枠の上限近くまで借りていて、別の金融機関から新たに借り入れを行いたい場合は別だ。融資前の相談・面談の窓口がどこも混雑していて、予約をとるのが難しくなってきている。その分、融資までには時間がかかる。

それでも急いで何とかしたい場合は、混雑しているメガバンクや大手地銀ではなく、税理士と相談した上で、地元の信用金庫など地域密着型の金融機関に足を運ぶ方法がある。

2. の信用保証協会の「セーフティネット保証」については、業歴3カ月以上あれば認定を受けられるように認定基準が緩和され、既存の取引銀行がない事業者や個人事業主でも使える。

しかし、このセーフティネット保証を活用する際に困った問題が発生している。

信用保証協会にセーフティネット保証(の審査)を申し込むには、前もって市区町村に認定申請を行い、売り上げが一定程度減ったことを示す認定書を発行してもらう必要がある。

ところが、市区町村に認定してもらうための面談が2〜3週間ほど予約でいっぱいになっているのだ。書類さえ揃っていれば面談の翌日には認定書を発行してもらえるのだが、肝心の面談までなかなかたどり着けない

2月末の段階で融資実行までに2カ月ほど時間がかかると言われていたが、いまはもっと混んでいて、2カ月半ほどかかる可能性がある。

続いて3. の新型コロナウイルス感染症特別貸付は、「収入が大幅に減少した企業」が対象とされ、具体的には、最近1カ月の売上高が前年または前々年の同期に比べて5%以上減少している必要がある。

3週間から1カ月ほどで融資が実行されると言われ、セーフティネット保証や制度融資よりはスピード感があるものの、申し込みに必要な面談は、やはり他の融資制度と同じように窓口が混雑してきており、順番待ちになっているようだ。

4. 自治体の制度融資だが、こちらはもともと融資実行までに時間がかかる。信用保証協会の審査にたどり着くまでに事業計画書や資金繰り表などをつくり込む必要がある上、融資を受けるための面談がおよそ2週間おきに3回ほどあるのが一般的だ。