飲食店が小規模事業者持続化補助金を受ける方法

小規模事業者持続化補助金の対象となる飲食店

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、以下の要件を満たす小規模事業者です。

  1. 小規模事業者であること
  2. 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に 100%の株式を保有されていないこと(法人のみ)
  3. 直近過去3年分の課税所得年平均額が15億円を超えていないこと
  4. 商工会議所の管轄地域内で事業を営んでいること
  5. 本事業への応募の前提として、持続的な経営に向けた経営計画を策定していること
  6. 本補助金の受付締切日の前10か月以内に、補助事業を実施した(している)者でないこと
  7. 一般型と低感染リスク型ビジネス枠の両方を採択していないこと
  8. 反社会的勢力に該当しないこと

特に飲食店の場合は従業員の人数に気をつける必要があります。小規模事業者としての判定は、常時使用する従業員の数で行われます。

飲食店では常時使用する従業員数が5人以下の場合、小規模事業者持続化補助金の対象となります。

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数20人以下
製造業その他 常時使用する従業員の数20人以下
この「常時使用する従業員数」とは、いわゆる正社員とは意味合いが異なります。公募要領内では、会社役員(ただし、従業員との兼務役員を除く)、個人事業主本人、および同居の親族従業員、育児休業中・休職中などの社員は「常時使用する従業員」に含めないものとするという記載があります。

また、「申請時によくあるご質問」の中に以下記述があり、パート、アルバイトの従業員は状況次第では含まれる場合もあり、注意が必要です。

また、雇用契約期間の短い者や、正社員よりも所定労働時間・日数の短い者は、パート労働者として、「常時使用する従業員」の数には含めない場合があります。

引用:小規模事業者持続化補助金|申請時によくあるご質問

自身が小規模事業者に該当するかどうかは商工会議所や補助金の専門家に一度相談するのがよいでしょう。

飲食店が小規模事業者持続化補助金を受ける流れ

飲食店が小規模事業者持続化補助金を受けるまでの流れは、以下の通りです。

  1. 経営計画書・補助事業計画書を作成する
  2. 商工会議所で事業支援計画書の作成を依頼する
  3. 日本商工会議所(補助金事務局)あてに申請書類を送る
  4. 日本商工会議所で審査が行われる
  5. 実際に販路開拓の取組を行う
  6. 実際に行った取り組みに関して実績報告書などを提出する
  7. 日本商工会議所に報告内容が確認される
  8. 補助金の請求を行う
  9. 補助金の清算

小規模事業者持続化補助金には審査があるので、給付を受けるには採択される内容の補助事業計画書の作成が必要になります。

①経営計画書・補助事業計画書を作成する

経営計画書や補助事業計画書といった提出書類を作成します。提出書類には様式1~5の5種類があります。

小規模事業者持続化補助金<一般型>応募時提出資料・様式集

様式1,2,3,5は日本商工会議所ホームページの小規模事業者持続化補助金の詳細ページにてダウンロードすることができます。様式4に関しては少し特殊で、商工会議所に作成してもらう書類のため、自分で書く必要はありません。

②商工会議所で事業支援計画書の作成を依頼する

上述の様式4の書類が、この「事業支援計画書」です。事業支援計画書は自分で書くのではなく、商工会議所に依頼して作成してもらいます。商工会議所は会員制の組織ではありますが、事業支援計画書の作成は会員にならなくても依頼することができます。

注意点として、商工会議所によっては書類作成に時間がかかる場合があります。早めに作成依頼を出しておかないと、小規模事業者持続化補助金の公募期間に間に合わない可能性があるので、しっかり逆算して依頼を出しましょう。

③日本商工会議所(補助金事務局)宛てに申請書類を送る

提出書類がそろったら、日本商工会議所に書類を送付します。送付時には過不足がないかしっかり確認をしておきましょう。

④日本商工会議所で審査が行われる

提出した書類をもとに日本商工会議所で審査が行われます。審査を通過すると次の段階に進むことができます。もし審査を落ちた場合は、計画を立て直して次回公募時に再び応募しましょう。

⑤実際に販路開拓の取組を行う

審査に通過したら、計画にのっとって実際に販路拡大の取組を行います。この時に計画外の取組をしてしまうと、後に補助金が下りなくなってしまうので、しっかりと事前に建てた事業計画に沿った取組を行いましょう。

⑥実際に行った取り組みに関して実績報告書などを提出する

実際に取組を行った後、実際に行った内容に関して実績報告書を作成、提出します。実際に行った取り組み内容と、その結果を間違いの内容に報告しましょう。

⑦日本商工会議所に報告内容が確認される

報告を上げると、日本商工会議所に確認されて、その内容に応じて補助金の交付が決定されます。

⑧補助金の請求を行う

補助金の交付が決定したら、補助金の請求申請を行います。

⑨補助金の清算

補助金の請求申請が受け付けられると、実際に補助金が支払われます。

飲食店での小規模事業者持続化補助金の活用方法

小規模事業者持続化補助金の金額は、一般型で50万円、低感染リスク型ビジネス枠で100万円が上限です。また、補助の割合は取組に使用した額の2/3です。

例えば、60万円かかる取り組みを行った場合はどちらの型でも40万円が補助金額となります。90万円かかる取り組みを行った場合、2/3は60万円なので、一般型では上限の50万円、低感染リスク型ビジネス枠では60万円の補助となります。

小規模事業者持続化補助金の一般型が使える経費

小規模事業者持続化補助金の一般型で使える経費は以下の通りです。

①機械装置等費

補助事業を実施するための機械装置購入費用が該当します。物理的に存在する機械装置だけでなく、パソコンで使用するソフトウェアも対象です。

ただし、通常の飲食店業務で扱う機械装置は対象になりません。あくまでも補助事業のために必要となる機械装置でなければなりません。例えば、常に米製品を扱っている和食店で新たに炊飯器を購入しても対象にはなりませんが、今まで米製品を扱っていなかったピザ専門店が客層拡大のための新メニュー開発で炊飯器を購入するなら対象になる可能性があります。

また商品開発や販路拡大のためであっても、パソコン等の汎用性が高く、補助対象事業以外での使用が可能であるものは対象外です。

②広告費

パンフレットやチラシ、広報用WEBサイトなどの作成費が該当する経費です。

補助対象事業に関する広報目的の物が補助対象で単純な会社やお店のPRでは補助対象になりません。ただし、WEBサイトを作成しての販路拡大そのものが補助事業である場合はWEBサイト作成費用も広告費として扱われます。

③展示会等出展費

補助事業上の新商品などを展示会や商談会に出展するための費用です。飲食店ではあまりなじみがないかもしれませんが、新商品の試食会のようなものであれば経費として認められる可能性があります。

④旅費

情報収集や各種調査を行うための旅費です。公共交通機関の移動費と宿泊費が対象となっています。宿泊時に温泉や食事がついている場合はその分を旅費から引いて計算したものが補助対象となります。また、公共機関以外の移動費に関しても補助対象外です。

⑤開発費

開発費は、新商品試作用の包装や原材料費用などの経費です。あくまで試作品のための開発費であり、販売用の商品の包装や材料費は対象外となります。

⑥資料購入費

補助事業のための情報を得る書物の購入費です。単価10万円未満、1種類につき1部のみ対象となります。

⑦雑役務費

補助事業のための臨時アルバイトや派遣労働者の給料や交通費です。あくまで補助事業のための臨時の従業員のみで、補助事業以外の仕事をする場合や、臨時でない継続して働く従業員の場合は対象経費にはなりません。

⑧借料

補助事業のための機器や設備のリース、レンタル料金です。機材のレンタル費用が当てはまりますが、サブスクリプション購入等の場合は①機械装置等費に該当します。新商品PRのためのイベント会場等の借料も含まれますが、店舗のための家賃などは該当しません。借用のための見積書や契約書が必要なので、必ず保管しておきましょう。

⑨専門家謝金

補助事業に関して指導や助言を依頼した専門家への謝礼です。指導・助言以外の委託を行う場合は「⑫委託費」に分類されます。

⑩専門家旅費

内容は「④旅費」とほぼ同様で、専門家が指導や助言を行う場合の旅費が対象となります。

⑪設備処分費

販路拡大のための作業スペース確保等の目的で設備機器等の廃棄処分を行う費用です。また、リース、レンタルしていた機械設備の返却を行うための修理、原状回復費用も含まれます。この項目のみ、上限が補助対象経費総額の1/2となっている点にも注意が必要です。

⑫委託費

上記①~⑪すべてに該当せず、第三者に業務を委託する場合にかかる報酬です。飲食店の場合、業務委託してのデリバリー販売の手数料などが該当します。

⑬外注費

上記①~⑫すべてに該当せず、事業遂行に必要な業務の一部を補助する項目です。店舗の改装工事などを行う場合が該当するので、飲食店でも補助事業のために利用できる可能性の高い経費です。