「百貨店倒産ドミノ」の悲劇

アメリカで始まった

弱体化した百貨店業界が新型コロナウイルスのパンデミックから受けている打撃の規模は、これまでとは比較にならない。アパレルやアクセサリーの販売は3月には半分以上減り、この傾向は4月にはさらに悪化するとみられている。

ロード・アンド・テイラーの幹部チームは今月、丸ごと解雇された。ノードストロムは注文をキャンセルし、業者への支払いを延期した。アメリカのデパートチェーンの中でも最も華やかなニーマン・マーカス・グループは、ここ数日中に破産法の適用を申請するとみられている。そうなれば、コロナ危機で経営破綻する初の大手小売企業となる。

今はちょうど最大の書き入れ時となるクリスマス商戦に向けて小売店が発注を行う時期にあたる。が、そんな重要なタイミングで百貨店チェーンは本部と店舗の従業員を何万人と一時帰休(無給休職)にし、現金を積み上げ、死に物狂いで生き残り策を練っている。

アメリカ商務省が今月中旬に公表した3月の小売売上高は惨憺たる結果だった。3月にはわずかな期間営業していた店舗もあったが、4月は休業の影響がフルに響いてくるため、数字はさらに悪化するとみられている。

支払期限の繰り延べは業者間で連鎖的に広がり、商品を納入するメーカーや卸売業者は、委託先メーカーやマーケティング会社、発送センター、賃貸物件の家主との交渉を余儀なくされている。

店舗数を削減し、店舗の賃料負担を軽減するために、他の百貨店が連邦破産法第11条による会社更生手続きを戦略的に利用する可能性があるとされる。「(百貨店は)ドミノ倒しのように崩れる。どこがその1枚目で、どこが10枚目になるのかはわからないが….」